高槻文吾です。
物件売却中ということもあり、不動産仲介業者の付加価値について考えてみたい。
仲介するだけで価格の3%の手数料(両手なら6%)、しかも売却先探しはレインズを使って待つ、という業者が大半。うーん、普通に考えるとすごく楽な気がするなぁ。何が彼らの付加価値なんだろうか。
企業のM&Aにおける、アドバイザー(いわゆるFA)について考えてみよう。
金額が小さい案件については「仲介」というビジネスも存在するが、これは小さい案件は報酬が少ないためだ。
一定以上の金額については、双方代理は利益相反するから買い手か売り手のどちらかの片方につくのが常識だ。
報酬についてはレーマン方式が一般的。説明しておくと、金額が少ない場合は報酬レートが大きく、金額が大きくなると報酬レートが小さくなる。ざっくりいえば、金額が少ない時は5%払うけど、金額が大きくなったら1%にするという感じだ。だいたいやること(作業量)は同じなんだから合理的だといえる。
FAの仕事は売り手側についている場合、インフォメーションメモランダム(IM)と呼ばれる資料の作成、買い手候補先のリストアップ(ロングリスト)し、実際にあたる先への絞り込み(ショートリスト)、打診、トランザクション一連の対応、交渉、ドキュメンテーション等だ。特に、どういう売り先をみつけてくるかは重要な業務の1つといえる。明らかにレインズを通じて買い手を探す人たちよりかは付加価値が高い。
さて、不動産に戻ろう。工場ならまだしも、特にレジの場合、いまやレインズにのせて買い手を待てばいい。どういう人たちが生息しているのだろう。
1)地元密着型の仲介業者。まさに殿様だ。付加価値は創業以来の歴史にともなって積み重ねた人脈と信頼。本当に素晴らしい会社もあるし、歴史に胡坐をかいてダメな会社も散見される。
2)大手仲介業者。ブランド力、という幻想につきる。
3)買取り転売業者(中間省略系も含む)。この人たちは厳密には仲介業者ではない。ただし、ソーシング力(物件仕入力)があり、安く仕入れて、レインズ(あるいは自社で囲っている顧客リスト)を通じて物件を売りさばき、業法上決められた最大手数料(両手で6%)以上を稼ぐ人たちだ。ローンセットが手っ取り早いので金融機関の事情にも精通。彼らの付加価値は、物件仕入力と買い手へのローン付け能力だろう。
4)ローンに精通した仲介業者。彼らの付加価値は、自社で囲っている顧客リスト及びローン付け能力だ。僕が売却を依頼したのはこのタイプだ。
5)売り手の立場に100%たって行動する仲介業者(実質的には代理に近い)もいる。不動産ブログランキング上位の方でこのポジションニングをとって、不動産売却の仲介を受注している人がいるように感じる(これはこれでうまいやり方だし、Win-Winでもあるだろう)。ポジショニングは、競争相手が少ないところに位置することが重要で、依頼者に様々な選択肢を提供するうえで価値もある。
結局、レジ主体の収益物件をレインズを通じて売るのであれば、誰に頼んでもあんま変わんないな、という印象だ。であれば、買う時に有用な情報をくれそうな人に頼んでおこうと思い、上記4)の人に売却依頼したものだ。
この領域、もっと価格破壊がおきてもよさそうだ。
ではまた!
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